
「神々の島」とのキャッチコピーで知られているバリ島ですが、
実はバリ島では、
神々以外にも、妖精や小人や妖怪や、幽霊・悪霊その他もろもろ、
普通の人は目にみえないモノたちが人間や動物といっしょに暮らしているらしいです。
世界的リゾート地で、車もあれば飛行機も飛び、ネットもスマホもある現代でも
まだまだあの世とこの世のつながりが、日本とくらべても格段に濃厚な気がします。
病院へ行くのとおなじように呪術医へ行き、
道をあるけば小人や妖怪にあたる・・・
そんなバリの人とお話していると、
そのまんま童話か?ファンタジー小説か?というような
「奇想天外なホントにおきた話」というのがたくさん聞けます。
おもしろいので私一人の胸にしまっておくのはもったいない、
しかしどう考えても、ごはん屋のブログに載せて、
ごはんがおいしくなる話ではないわな~・・・
と思っていままで封印していたのですが、
怖い話が季節モノとして認知されている夏ならOKかしら・・・?
ということで、今回はいろんなお話の中から、短めの一話をご紹介します。
これはCAFE NADIのオープン当時から7年間
シェフとして厨房を支えてくれた元スタッフ、パヤンが、
親戚から聞いた、友達のプトゥ(仮名)が体験したホントのはなし。
デンパサールの超人気BAKSO(肉団子スープ)屋
バリ島の州都として栄えるデンパサールの街に、
いつも店の前に行列ができているような、
大人気のBAKSO(肉団子スープ)を売る食堂があった。
とにかくいつ行っても満席で、とっても美味しい肉団子スープという噂。
プトゥはグルメな男だったので、
そんなに美味しい肉団子スープ屋なら、一回どんな味かためしてみたいと、
ある日その食堂へ出かけていった。
話に聞くその店へたどり着いてみると、なるほど超満員。
ちょっと待ってやっと空いた椅子に腰をかけて、
プトゥは注文した肉団子スープが運ばれてくるのをまっていたのだが、
しかし・・・・
そのときプトゥは見てしまったのだ。
食事をしたり、注文を待っているお客たちの間に、
人間とはあきらかに違う姿の者・・・
身体も顔も、全身が真っ黒けで、
人間よりふたまわりほど大きな体格をした「鬼」が
通路をうろうろしているのを。
プトゥは実は、普通の人が見えない、
あちらの世界の者たちの姿を見ることができる男だった。
他のお客たちは何も知らずに食事をしている。
そのままプトゥが黒い鬼をじっと観察していると、
鬼はテーブルをまわって、
お客の前に置かれた肉団子スープの入ったボウルに、顔をよせては
口をあけ、長い舌をべろ~んとつき出し、
舌をスープの中にひたしていた。
一度食べたらやみつきの、美味しい肉団子スープの、
味の秘密は、黒鬼の舌のダシだったというわけ。
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